バブル
フランクはその長い牙を見せ付けるようにパックリと口を開け、座っていた子ども達目掛けて走り寄る。
「さあ、バイダーを倒す前に腹ごしらえしてやるか! 美味い子どもは誰だぁ〜!」
子ども達は笑いながらキャァァァと可愛らしい悲鳴をあげて、くもの子を散らすように逃げ惑う。
「でもフランクさんは確か『バイダー』より、『デジラ』派じゃなかったですか?」
「そうなんだけどね……二人共、ノリヤスイ性格だから」
「させるか! バイダーパ〜ンチ!」
子ども達とフランクの間に割って入ったジェスがフランクの顎を捉える。
ゴフン、と良い音がなったが、ジロリとジェスを見下ろすフランクは不敵な笑みを顔にたたえたまま。ダメージらしいダメージが、本当にないらしい。フランクは巨大な両手を組み、ハンマーの要領でそれを振り下ろすが、その時には、ジェスは素早い動きで子ども達の元に退避している。
「それに、子ども達からすれば、本当にリアル『バイダー』だからね、ジェスさん。あんな速い動きする『バイダー』はテレビでも見た事ないだろうし、フランクさんにしても、腕力が強くてあの顔だから、怪人役には打って付けだし」
どうしたのだろう、フランクがこちらに近寄ってくる。フランクは背を丸め、ロザリアだけに耳打ち。背伸びしてそれを聞いていたロザリアは満面の笑みを浮かべ……突然、フランクが哄笑した。