ロブル
「グワッハッハッハ! バイダーよ、この女は人質だぁ! 今すぐ抵抗をやめろぉ! さもなくばこの女を食い殺すぞぉぉ!」
「キャァァァ! バイダー、助けてぇぇ!」
「リ、リア? な、何してんだい?」
状況が飲み込めぬ幸一は呆然とロザリアに呼びかけるが、『人質』と化した彼女は依然悲鳴をあげて続けている。
ジェスは悔しそうに舌打ちし、唸る。
「クッ! 人質を取るとは、なんと卑劣な! だが僕一人では人質は助けられない! こんな時に彼女がいれば……!」
その一言で、子ども達はマナに期待を込めた眼差しを向けた。
マナはため息をつき、
「……幸一君、今日のゴミ拾いはここまで。ちょっとこれ持ってて」
デレキとゴミ袋を手渡す。子ども達に背を向け、駆け出し、物影に引っ込む。マナは純白のローブの中からジェスが被っているお面と、そっくりなお面を取り出し装着。そして、子ども達からは見えないよう、急いで塀の上によじ登る。
夕日をバッグに、全身真っ白、お面をつけた怪しい人物はハスキーな声で現在のフランクの名を呼んだ。
「そこまでよ、怪人クロコダイン!」
「あー! ホワイトバイダーだ!」
子ども達の声に反応したマナこと、ホワイトバイダーは白いコートをなびかせて塀から飛び下りる。フランクに接近すると同時に腹に蹴りを入れた。さして利いてもいないだろうに、フランクは『グオッ』と短い悲鳴をあげ、片膝をアスファルトに突いた。
マナはロザリアを取り返し、ジェスの元まで戻る。
「ホワイトバイダー、助かったよ。奴を倒す為に君の力を貸してくれ!」
「わかったわ、バイダー!」
「ヌゥゥゥ! 一人でも二人でも同じだぁ! まとめてかかってこいっ!」
「バイダー、頑張ってぇぇ!」
(……二人共、ノリヤスイ性格? 違うだろう、それは。僕を除いて全員、ノリノリじゃないか……! イタイ、イタ過ぎるよ!)
このサークルに入ったのは、大いなる過ちだったのではないか?
これが、鈴木幸一にとって、十人十色サークルに入ってから最初に後悔した出来事なのを、他の四人は知らない。