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絶句し、何も言えないマナに、凶器にも似た無数の視線が放たれる。
彼等が何を考えているのか瞬時に悟ったマナは、反射的に叫んでいた。
「ち、違う! 私じゃない!」
返答は無い。刃のような眼だけが変わらず、激しく首を振るマナに固定されている。
そんな中、一人だけ口を開いた人物がいた。
「あの……警察に、誰か電話はしたんですか?」
幸一の問いに、誰も返答はしない。幸一は干からびた死体に向かって歩み寄る。その死体の上には、一枚の学生証があった。幸一は屈み、死体には触らぬよう観察。
「どうしたんだい? ……うっ……!」
「おい、なんだこりゃあ!」
「キャア! み、ミイラ?!」
騒ぎを聞きつけ、駆けつけたジェス、フランク、ロザリアも喉を鳴らす。
震えるマナと、彼女を囲む目線が、ジェスに事態を悟らせた。
「なるほど、君達はマナが犯人だと疑っているようだね……だが、確たる証拠でもあるのか!」
怒声に、やはり反応は無い。ただ変わらず、粘性を帯びたまとわりつくような無数の眼だけが、マナと彼等を見つめ続けている。なおもジェスは続ける。
「百歩譲って彼女が犯人だとしてだ、動機はなんだね動機は!」
これには、群衆の中の一人が、ぼそりと呟いた。
「……飢えた化物に、理由なんてあるかよ」
「誰だ、今言った奴は!」
フランクは猛々しく糾弾するが、これに返答は無い。物言わぬ人の群れに、フランクのこめかみが痙攣する。今にも誰彼構わず、殴りかかりそうなフランクを制止したのは、幸一の声だった。
「はい、本人かどうかはわかりませんが、磯辺誠とあります」
磯辺誠。この死体では判断出来ないが、残された学生証の写真は、四月に会ったあの生徒会役員だ。
「はい、はい……お願いします」
そう言って、幸一は携帯をしまう。